お料理

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お料理実習のきっかけ

当教室ではお料理の時間を設けています。それは完全に通常授業の中に組みこまれており、当教室の生徒であれば年齢に関わりなくだれでも参加することができます。この実習のために当教室オリジナルの調理用の制服も用意してございます。お子さんはこれに着替え、お料理に挑戦することになります。(ですのでお召しのお洋服がよごれる心配はありません!)

この実習をはじめたきっかけは卵割りの練習でした。最近の子どもたちは卵を割れない、などとよく言われますが(教えたらすぐに憶えますし、決してそんなことはないのですが)これを指導したことがきっかけです。割った卵を無駄にしないためホットプレートを持ち出し、卵焼きやホットケーキなど簡単にできるお料理の作り方をこどもたちに教えたことからこのカリキュラムは始まりました。

はじめはわたくしどもも「勉強の合間の遊び」くらいに捉えていたのですが、じっさいにさせてみるとこれに取り組む子どもたちの目の輝きが全然違います。

なによりのちにご両親から「あの実習以降、家庭での子どもの様子が全然変わった」、「我が家でも率先してキッチンに立ち、晩ご飯作りを手伝いしたがるようになった」などというお言葉をいただくようになりました。それから本格的に授業に取り入れるようになり、以来、このお料理の時間はお子さんたちが毎回心待ちにしている大好評の授業となりました。

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お母様も気づいてはいる。でも・・・

その背景にはさまざまな要因が考えられます。最近はお母様もお仕事を持つご家庭があたりまえになりましたし、かつてのようにお母様がお子さんといっしょに台所に立ったりお料理をお作りになる機会を設けることはむずかしくなりつつあります。

またコンビニエンスストアや外食産業がこれだけ発展したおかげで、気軽においしい料理が食べらるためご家庭で調理する頻度が減りつつあるという時勢や環境の変化もあるかもしれません。ましてよほどご意識の高いご家庭でもない限り、入学前のお子さんに積極的にキッチンに立たせるというご両親はまれでしょう。

ですがやはりお料理はぜったいに憶えておいた方がいい技能のひとつです。走ったり、泳いだり、字を読んだり書いたりするのと同じように、人間の基本的な能力、生きる上での必須の能力の一つとして、「調理」というスキルは存在します。一度憶えてしまえば生涯使うことができますし、男の子・女の子問わず「お料理ができる」という技能は、その後長くその子の人生を豊かなものにすることはまちがいありません。

そしてお子さまを持つお母様もそのことには実は気づいているし、自覚もしておられます。しかし仕事や育児といった日々のいそがしさの中に紛れ、お子さんに対しお料理や台所のあれこれについて教えたり、いっしょにキッチンに並んで立つという習慣をつい怠りがちになる・・・。そんな感じではないでしょうか。

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お料理には「学び」のすべてが含まれている

お料理には人間が生きていく上で必要なすべての事柄がふくまれています。

肉や魚、野菜の種類や名称から始まって、火のあつかい方、刃物や調理器具の使い方、買い物における商品の価格や相場、鮮度といった概念。八百屋さんや魚屋さん売り場でのコミュニケーション・・・。お料理はすべてにつながり、それらにまつわる知識は生きる力に直結します。

では、ふだん何気なく用いているこうした技能をわたしたちはいつ、どこで身につけたのでしょうか? 少し前まで、これらお料理にまつわる知識やスキルは「ふつうに生活していれば自然と身についていく常識」だと見なされていました。少なくともわたくしたちや、わたくしたちの親、祖父母の代まではそうした認識が一般的であったように思われます。しかし、ここ最近の日本ではどうやらその前提がしだいに崩れつつあるようです。

それはいったいなぜでしょうか?

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経験不足の子どもたち

当教室ではよく子どもたちを連れてスーパーに行きます。

お料理をする前段階として食材を買いに行くためですが(ここから始めないと料理は体験として身につきません)、スーパーはまさに学びの宝庫です。店内には生きた教材があふれており、ここに一時間いるだけでふだん教室で学ぶことのできないたくさんのことを身につけることができます。

今の子はスーパーに連れて行くと、まっ先にお菓子コーナーへ行きます。たぶんそこだけが自分が関心のある世界だからでしょう。言い換えればそこしか「お買い物」という行為と自分との間に接点がないわけで、こうした子はたとえお母様といっしょに毎日お買い物に行っていても、野菜売り場や生鮮品売り場に何が売られているのかまったく知りません。

そうした子に買い物かごとお金をあずけ、レジに並んでお会計をしてきてと頼むとたいへんなことになります。まさに右往左往。お金を払うことだけはできますが、そのあとはまったく何をしていいのかわかりません。まず買ったものをレジ袋に入れることができませんし、買ったものをほったらかしにしてスーパーの籠だけを入り口まで返しに行こうとしたり、あわてんぼうの子になるとレジ籠を持ったままそのまま家まで帰ろうとしたりします。

レジ袋への詰め替え作業もできません。ふつうわたしどもは詰め替えるときも固くて容量の大きいものを下、卵やお豆腐など割れたり形が崩れやすいものが上に置きますが、子どもたちはこういうことも知りません。むろん、こうした知識は少しずつ身につけていくものであり、小学生低学年ではまだ知らなくても無理もありませんが、今の子は小学生高学年になっても、中には中学校に上がってもまだ身についていないことも決してめずらしいことではありません。

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コンビニですべてが事足りる世代

しかしこれで子どもたちを責めるのは酷です。

考えてみれば彼らが日常的によく使うのはコンビニエンスストアです。そしてコンビニでは店員さんが買った品を袋に詰めてくれ、最後に「ありがとうございました」という言葉と共に袋の握りの部分をこちらに差し出してくれまでくれます。

つまり今時の子どもたちは店側がここまでしてくれるサービスに慣れ親しんで大人になります。こうした環境では実際に包丁やガスコンロを使ったお料理はもちろん、野菜や鮮魚といった買い物の実体験すら望むべくもありません。そして、この傾向は今後いっそう加速していくことでしょう。

しかし、かといって今の子どもたちが生きる術や技を失っているわけではありません。むしろ今の子は学ぶ機会に飢えています。教えれば「やらせてっ」と何でも挑戦したがるし、何かを吸収しよう、トライしてみようという意欲は大人以上です。

とはいえ、子どもになにかを教えたり見守ったりするのには十分な時間が必要です。お母様がご自分ですれば10秒で済む作業が、子どもに任せれば三分や五分ふつうにかかります。失敗することもあります。ですがその失敗やチャレンジの経験がお子さまを鍛え、成長の糧―――その小さな身体の中に眠っている可能性を開く大きな契機となるのです。

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まずは小さなことから

当教室で用意した白いコックさんの衣装を着せてあげると子どもたちは小躍りしてよろこびます。もちろん着がえにはお洋服を汚さないためという配慮があるわけですが、子どもたちにとっては「自分たちが一人前に扱われている」、「なにかに挑戦する権利を与えられている」という実感がそこにはあるのでしょう。あるいはこちらの本気具合が伝わるのかもしれません。衣装に袖を通したときの目の輝きはやる気と好奇心にあふれています。

お料理のレパートリーはさまざまです。カレー、炒飯、ミニカップケーキ、クレープ・・・餃子作りにだって挑戦します。もちろん失敗もありますし、うまくいかないときもあります(むしろそっちの方が多いです)。

それでもじっさいに「自分はこの手で大根を切ったことがある」「油を引いてコーンを炒めたことがある」という体験は何物にも代えがたいものです。

まな板の上で包丁を握ったときの緊張感、刃がお野菜を二つに断ったときの手応え、熱いフライパンに手を近づけたときに手のひらに感じる輻射熱・・・。たんに調理されたお料理やお弁当を食べているだけでは味わえない実体験がそこにはあります。そしてその実感は、次にお子さんがお母様といっしょにお料理にチャレンジしようとするとき、たしかな下支えとなるでしょう。

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笑顔と挑戦

なにより調理が終わったのあと、自分たちの手でこしらえたお料理をみんなで食べるときの子どもたちの笑顔は太陽のように輝いています。自信と達成感、「じぶんでつくった!」といううれしさは、きっとお料理の味を何倍にも引き立てているのでしょう。

ですがお料理がたんなるひとつの体験として終わらないのはここからです。当教室では調理の前、お買い物の段階からお野菜や食材の名称、色、形等をくわしく調べます。そして縦の断面図を見、じっさいに種の位置や生育の仕方を学んでいきます。

こうした実体験を地道に繰り返すことで、お子さんはお野菜や果物の名をただの名詞ではなく、かつて自分が実際に苦労して切ったり焼いたり茹でたりしたことのある、具体的で個人的な体験に基づいたひとつの「実体」として頭に捉えることができるようになるのです。

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子どもたちの未来に向けて

お子さまは可能性の固まりです。教えたり授けたりすればどこまでも吸収し、飛躍して伸びていきます。ですがその『黄金の時間』は決して少年・少女時代すべてに通底して流れているわけではありません。やがて青年期にさしかかったお子さまはそれまで培い、磨いてきた技術によって自分自身の人生を生きていくこととなります。

人間という生き物の根幹をなす「食」というこの最も大切な文化―――。これこそ、わたしどもがお子さんたちの将来に与えることのできる知識であり、大きな財産でもあるのです。

そして、それはいつの日かお子さまがお母さま、お父さまの手を離れたとき、必ず役に立つときがくるでしょう。

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